ドローン(Phantom)

一等無人航空機操縦士に合格(実地、学科、身体検査)しました。

SONY α7R V + LEICA APO-SUMMICRON M f2.0/50mm ASPH.

めちゃくちゃに大変でした。

これは「どうにかなるだろう」と思っていたら大火傷します。勉強や操縦にかける時間、情熱、そしてお金がないとこの国家資格は合格することができません。(今回の内容は私基準です。人それぞれなので、学科試験や操縦スキルが必要な実地試験の難しさなどはあくまで参考にしてください。)

Contents

学科試験

とにかく教則を読み込むことが合格への最短距離です。

Xでもつぶやきましたが、ドローン検定1級のほうが範囲が広くて大変だった感想です。一等無人航空機操縦士の学科試験は、レベル4飛行を見据えてのより現実的な内容となります。
IDAのゼミやドローン検定、日々の情報収集のおかげで知識は蓄えているほうだったので、がっつり勉強はしましたが、すごく大変、というほどではなかったです。(逆に知識の蓄えがないと本当に大変だと思います。)

とはいえ、空き時間があれば図書館など行って集中して勉強しました。

計算式は算数小学生レベルの私でも、特定の計算式を覚えてなんとかなりました‥。計算式の問題が今後増えるとの情報もあり、増えたら私の計算能力ではこれ以上は無理だw

身体検査

これは、運転免許証を持っていれば、無人航空機操縦士試験申込システムから申し込めばよいだけなので、これは無事にスルー。

実地試験

一等無人航空機操縦士の練習
自主練習の様子

スクエア、ピルエットホバリング、八の字の3種飛行

ドローン操縦の試験です。
詳しくは 一等無人航空機操縦士実地試験実施細目 をご覧ください。

これはエグいです。
世の中にPモード(GPS信号・ビジョンポジショニング・障害物検知システムが全て有効にして、機体を最も安定して飛行させるモード)の機体しか無いのに、Aモード(ATTI:GPS、障害物検知が無効化。風に吹かれただけで簡単に位置が移動してしまう)での機体で操縦、試験を受けるという、なにかの罰ゲームか?というような内容となっています。
車に例えると、オートマの車しか市販されていないのに、試験はマニュアル車だよ、という感じですw

Aモードはスクール用に販売しているMavic、もしくはもはや市販されていないPhantomなどの機体が無ければAモードで操縦する機会はありません。

スクールに通って講習で練習するか、Aモードの機体を持っている方に借りて練習するか、ヤフオクなどでPhantomを落札するか、などしか方法がありません。

毎日河川敷に通ったおかげで仲良くなった仔山羊のさくらちゃん

私の場合、運良く(?)SONY Airpeak を所有(なんとAモードあり!)しているので、このAirpeakで当初練習しました。

しかしながら、機体がデカい、重い、練習に向かない、試験で使用されるMavicやPhantomと大きさ、使用感が違いすぎる、というデメリットが。(Airpeakはめちゃくちゃ機敏です)
それでもAモードを体感できるという意味では有り難い存在ではありましたが、実際にスクールでのMavic(お世話になったスクールではMavic 2)とはかなり操作感が違いました。

10時間の規定講習を受けたものの一度目の実地試験ではあえなく撃沈。最後の八の字で強風が吹き、姿勢は安定しない、減点区域への侵入…。
試験官の方の「風にやられましたね…」という言葉通り、不合格エリアへの侵入こそ無かったものの、合格圏内の80点には届かなかったらしく、不合格に。
ちなみに受験時の目安として、飛行経験は180時間くらいあります。結構経験者といえるレベルにはあると思うので「なんとかなるだろう」と思っていましたが、なんともならなかったでしたw

ここは本当に注意が必要です。
スクールに通えばもらえる民間資格と違って、国家資格であることから、ここはかなり厳格に行われます。スクールによる特典があると思ったら大間違いでした。(例えば失敗してももう一回チャレンジさせてくれるだろうなど。→そう思ってました、ごめんなさい…)

高い受講料を払って通ったとしても、試験は厳格に行われます。(ここは運営側も監査が入るから、厳しくしないと資格を剥奪されると言っていました。→でもスクールに通われる人は、「スクールに通えばなんとかなるだろう」という気持ちで来られるから(私もそうですねw)、試験の難しさとその意識の剥離が結構問題とも。)

スクールの方も言っていましたが、すごく運に左右される試験内容です。風速1m/sと4m/sでは、天地ほどの差があります。もはや別次元のレベルと言っていいほど必要とされる操縦レベルが跳ね上がります。

しかも一定ではなく、風が吹き続けることもあるし、突風的なこともある。
「強い風きた!」と思って、強めに当て舵を入れても、すぐに止んで機体だけブオォーン!と飛んでいってしまいます。
その場合、安全圏内をすぐに飛び越え、あっという間に減点、一発不合格エリアに突入します。

とにかく風速が1m/s違うだけでヤバいほどレベルが変わります。これは本当に恐ろしいです。
(負け犬の遠吠えですが、一度目の試験は最大で5m/sを超える風があった日でした…:5m/sを超えると試験そのものが中止になる。)
自然現象が相手なので、ほぼ無風の状態で試験を受けれる人もいれば、試験開催圏内ギリギリ5m/sに近い風速で受けざるをえない人もいるわけで…。
これはあまりにも条件が違いすぎるので、私的には4m/sが一等、3m/sが二等、2m/sが三等、1m/sが四等くらいに分けてもいいと思うくらい、風によって求められる操縦スキルが違うと感じます。

もはや友人と化したヤギのもなか。いまではとっても仲良しですw

もうこの試験は、練習あるのみ、しかないと思います。7月末の試験を落ちて、しばらくAirpeakでAモード練習、Mavic3で距離感掴む練習を一ヶ月間、朝・夕(行けるときは昼も)と続けましたが、8月の暑すぎる環境で、Airpeakで使用するiPadが高熱で使用できなくなるなど、なかなか過酷な環境でした‥。

そしてAirpeakとMavicのAモードでは、操作感も風の受ける面積も違うため、これではダメだとGOOPASSさんでPhantomをレンタル。

8月末受ける予定だった試験が、強風で延期になったため、Phantomでさらに一ヶ月間練習を続けました。有り難いことに雨の日がほとんどなく、ほぼ毎日練習を続けることができました。

それでも安定しない風、さらに風速が強い環境で練習したくても自然が相手なのでそうもいかず…。山梨はあまり強風にならないんですよね…。(試験会場の千葉某所は、ほぼ強風環境)

「これ上手くなるのかな…?」という日々がずっと続きましたが、一ヶ月間もやると自分でも少しだけ上達を感じることができました。
でも試験前日ですら、合格の見通しがまったくつかない状態…。(無風〜2m/sくらいなら自信あり)

2ヶ月間で合計30時間はAモードで練習したでしょうか。(総合計は200時間以上)
それでも風という予測不能な現象によって、試験に自信をもって臨むことはできませんでしたが、結果的には合格することができました!

体感的にはPhantomよりMavicのほうが風を抑えやすかった印象があります。K試験官には「上達しましたね!」と、F試験官には「よく風を抑えてましたね、安心して見てられました」と言っていただけて、練習の効果をやっとここで感じることができました。泣きそうでしたよw

ちなみに試験中の最大風速は4.2m/sでした。(ピルエットホバリング時)
ここはしっかり風を抑えたので、F試験官はここのところを評価してくださいました。ありがとうございます。平均で3m/sくらいでしたでしょうか。
予報では、試験会場の地域は6m/sだったので、わざわざ千葉まで行って、試験中止になったらどうしようと思いましたが、行った甲斐がありました。

スクエア、ピルエットと順調に行ったので、最後の八の字(一番練習しましたが)には緊張で指が震えてしまいました。。。
一度だけ減点エリアに入ってしまいましたが、合格したということは80点を割らなかったということで。良かったです。

自主練習で役に立ったもの

机上試験

順番的にはこれが最初。

これも実は結構エグいです。
実際にカテゴリーⅢでの飛行計画についての知識を問われます。
もちろんここに出てくる問題は世の中に出回ってないし、(運営側でも出回らないようにしている)学科試験で勉強したことがしっかりと理解していないと回答できません。

5問あって1問不正解で-5点。大きすぎる…。

5問ぜんぶ不正解だったら、もうそこで75点でアウト。不合格決定です。
不確定要素の実地試験が控えているのに、ここで1点たりとも落としたくないのでめちゃくちゃ重要なポイントになります。これは受けてみないと内容は知り得ることができません。
実際に私も問題はうっすら覚えていますが、回答した答えが正解だったかどうかもわかりません。(教えてくれません)

スクールでのメリットとして、予備試験を一度だけやってくれるのでそこが助かります。もちろん本試験と問題は違いますが、内容としては「カテゴリーⅢの飛行計画」についてなので、傾向を知ることができます。

口述試験

これは飛行前、中、後に行われるもの、そして試験最後に「事故・重大インシデントの報告」があります。
ここも概要をしっかりと抑えることで対応できますので、事前にしっかりと理解、覚えることが重要です。

怖いのが緊張で頭が真っ白になってしまい、答えられないことがあること。
実は私です(笑)

一度目の試験はまだ余裕があったのですが、もうこの資格につぎこんだ時間や情熱、お金のことを考えると崖っぷちだったので、最後の八の字は指が震えるし、最後の口述試験は頭が真っ白になるし…。

「航空法の違反はないか?」の問いに、全然的外れなことを回答してしまいました…。(ほかは大丈夫でした)

普段であれば、即答できる内容だったので、当日は本当に焦りました。(間違いなく減点された項目)

終わりに

試験結果については、合格か不合格かしか伝えてもらえないので、憶測ですが
・八の字飛行での一度の減点エリア侵入
・口述試験1問の問いが不正解
くらいの減点で、80点は割らずに合格できたものと思います。

グーグル検索で「一等無人航空機操縦士取得にかかる費用」と検索で、70万円〜110万円と出ます。初心者と経験者で差がありますが、くれぐれも「お金を払えば取得できる」ものではありません。

私のレベルでこれだけの勉強と練習が必要でした。かかったお金は…考えたくもないですw

ただ内容さえわかれば、自学することが可能なので仕事としてコンテンツをつくろうかなと思っています。(スクールの1/10くらいで、自学して合格レベルまでお伝えすることが可能なので、私ならお願いしたいw)

だけど山梨県で一等無人航空機操縦士のニーズがどこまであるのだろうって感じですね。

合格率

試験合格証明書(一等無人航空機操縦士)

一等に関しては公表されていません。朝日新聞さんによると、7月時点で全国で150人程度しかいないそうです。その割合もおそらくほぼスクールなどの関係者によると思うので、スクールなどの関係者を除くとかなり少ないのだろうと思います。(実際7月にスクールで講習を受けましたが、そのスクール民間としては受講第一号でした。※それまではスクールの教官やシュミレーションをみっちりやったそうです。)

私がお世話になったスクールでは、合格率について、やはり言えないとのことでしたが、「かなり良くない」とのこと。

たまたまインターネットで見たドローンスクールさんでは、二等の実地試験の合格率が36%だそうで。

一等だともっと少ないんでしょうね。
(炎上かもですが、Aモードの試験に比べ、安定して飛行できるPモードの実地試験が難しいとはどうしても思えない。IDAの榎本さんも、「一等と二等の実地試験は、一等と八等くらいの差があるよ」なんて仰ってましたが、完全同意。)
今後さらに学科試験などが難しくなるとの情報もあるので、なかなかハードルが高い国家資格となりそうです。

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shinobuOsawa

写真、動画、空撮からウェブや紙のデザインまで幅広く手掛けるクリエイターっぽい人。
筋トレと子どもをこよなく愛する、クスッと笑えるプチ不幸体質の持ち主。
筋トレ好きの内蔵貧弱系。親しくなるとオネエ言葉になります。
写真を画像ではなく、用紙にこだわり、オリジナルプリントとして手元に残り続けることができる作品を生み出すことが目標です。

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